「デリケートゾーン」のお悩み、どうすればいいの?──産婦人科医・宋美玄先生

「デリケートゾーン」のお悩み、どうすればいいの?──産婦人科医・宋美玄先生

下着のなかの、ちょっとした不快感。
このぐらいはたいしたことないと、やりすごしてみる。でも気になる。私だけ? だって誰からもそんな話を聞いたことない──。

「デリケートゾーン」はその名のとおり、とても繊細で、トラブルが起きやすいですが、人に相談しにくく、ひとりで悩みを抱えがちです。どうすれば解消できるのでしょう?

産婦人科医として、セクシュアルウェルネスの発信者として、常にトップランナーでありつづける宋美玄さんに、トラブルの原因と対処をうかがいました。

大事なのは、洗う、マッサージするなど「日々のケア」です。

宋美玄|「丸の内の森レディースクリニック」院長。1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年大阪大学医学部医学科卒業後同大学産婦人科入局。2010年に発売した『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』がシリーズ累計70万部突破の大ヒット。

デリケートゾーンに悩める人は多い

宋先生:クリニックに、デリケートゾーンの悩みで来られる方は毎日のようにいます。
かゆみや痛み、乾燥などで困って、まずはネットで調べてみる。そうするとカンジダの情報がたくさん出てくるようで、それを心配して相談に来られることが多いですね。

検査をしてカンジダや腟炎、その他感染症だとわかれば治療をはじめ、腟剤や塗り薬を処方します。
ですが、こうした医療的アプローチで改善できるトラブルは、私の体感では全体の半分くらいでしょうか。残り半分は、検査の結果「特に問題ない」とされるけど、たしかにトラブルがある、というケースです。

原因がはっきりしていてもいなくても、デリケートゾーンのコンディションが悪いと、ストレスを感じます。小さなストレスと軽視することはできません。
ちょっとずつでも気になることが長期間つづくと、生活そのものの質が落ちます。「病気ではないからいい」で片づけていいとは思えません。

年齢とともにトラブルも増加!

宋先生:年齢が上がると、トラブルは増えます。
40代半ばぐらいから女性ホルモンの分泌量が減りはじめ、それにともない外性器・内性器の乾燥が気になる人が増えます。

これは誰にでも起きうる変化で、顔のお肌と同じだと考えてください。
いままでは何ともなかったのに、細身のジーンズを履くと痛みが出たり、自転車に乗るとサドルの当たり方が気になったり……といった声をよく聞きます。

この場合は、ホルモン補充療法を提案します。
減りつつある女性ホルモンを、ジェルを塗ったりパッチを貼ったりして補充するもので、更年期症状の治療の一環です。短期間で乾燥、かゆみの改善を実感できるようになるでしょう。

けれど、こうしたトラブルの解消で欠かせないのは、日々のケアだと私は思います。

基本のケアは「洗う」ことから

宋先生:デリケートゾーンの汚れをしっかり落とし、通気性をよくするだけでも、かなりの改善を期待できます。
具体的には、コットンの下着を身につける、細身のジーンズを履かない、ストッキングもできれば避けたほうがいいですが、お仕事などの関係で履かなければいけない場合は、ガーター一体型ストッキングがベターです。

アンダーヘアの処理も、蒸れや、それによるかゆみの改善につながりやすいです。
毛量や生える範囲は個人差が大きいですが、脱毛やカットなどでそれらを減らすだけでも、違いを感じられると思います。

そして、もっとも基本のケアは「洗う」です。

女性の外性器は複雑な形をしていますし、排泄物におりもの、経血が付着するので、お湯でざっと流すだけでは十分に落ちません。
ボディソープで洗うとかえってヒリヒリして、不快感が増すこともあります。低刺激のデリケートゾーン専用ソープで洗う習慣をつけてください。現在は、たくさんの種類のソープが市販されています。

デリケートゾーン、ちゃんと触れてみよう

宋先生:子どものころに、デリケートゾーンに触ってはいけない、と大人から怒られた経験がある人もいるでしょう。「病気になるよ!」「汚いからダメ!」と強く言われたという話も、よく聞きます。

幼児が自分の性器に関心をもったり触れたりすることは何らおかしいことではありません。
けれど怒られたというのは強烈な体験で、絶対に触れてはいけないところなんだ、と刷り込まれてしまいます。

そんなタブー意識から、自身のデリケートゾーンにちゃんと触れたことがない人は少なくないと感じます。
洗い方を知らなかったり、人と性的関係を築くとき抵抗があったり、婦人科への忌避感にもつながったりすることなので、決して小さくない問題だと私は思っています。

だから、できるだけ自身のデリケートゾーンに触れてほしいのです。

洗うときは、垢が残りやすい小陰唇の内側や、排泄物が気になる肛門周りまで、指で泡を行きわたらせるようにして、しっかり洗います。

最後はシャワーヘッドを手で持ち、ぬるま湯を直接デリケートゾーンに当てて、泡を流しましょう。

さらにマッサージの習慣をつけると、汚れも落ちやすく、デリケートゾーンに触れることにも慣れていくと思います。
小陰唇の内側は粘膜ですから、マッサージローションの素材は安心できる素材、成分を使っているものを選ぶことをおすすめします。

オイルのように、マッサージ後に洗ったとしても落ちにくい成分もあります。
デリケートゾーンに残ることでそれが汚れになると、ニキビのような炎症が起きやすくなります。これでは逆効果です。
洗い流しやすい成分であるかどうかを、購入時にチェックしてほしい項目のひとつです。

保湿や黒ずみ対策など+αが期待できるもの、洗い流さなくてよい仕様になっている専用ジェルやクリームもあります。
好きなものを選んで、日々のケアに取り入れてみるといいでしょう。

乾燥から解放されることで、かゆみやヒリつきも起きにくくなります。
デリケートゾーンのストレスから開放され、快適に、アクティブに毎日を送りたいものです。

おすすめケアアイテム

〈bda ORGANIC ジェリーローション ソフト〉

とろりとした粘度のあるテクスチャーで、うるおいをもたらす潤滑剤。
セックスのときの痛みや不快感など、うるおい不足からくる悩みがある人に支持されています。

オーガニック成分95.6%配合/天然成分100%で、肌や粘膜にも安心して使用可能。
保湿成分、黒ずみ対策成分などが含まれているため、デリケートゾーンのマッサージにも使えます。

マッサージ後は洗い流さなくてもOKですが、気になる方はぬるま湯で流すと下着なども汚さず安心です(洗い流しても保湿力はキープ)。

bda ORGANIC ジェリーローション ソフト
100ml|2,970円(税込)商品はこちら >>

マッサージ方法

バスルームで、脱衣所で、ベッドルームで。椅子に座る、横になるなどリラックスした姿勢で行ってください。
利き手の人差し指・中指・薬指に、ボトルから1プッシュ分のローションを出し、指の腹を使ってマッサージします。

1 大陰唇
手の体温を移すようなイメージで、全体にローションを薄くのばし広げながら、心地よい強さでマッサージしましょう。

2 小陰唇
大陰唇と小陰唇のあいだに、使いやすい指1本を滑り込ませるようにしてやさしく往復させましょう。

3 会陰
Uの字を描いたりクルクルと円を描いたり、やや圧をかけ血流を促すようにしながらマッサージしましょう。

4 肛門
指の腹を使って、軽くもみほぐしましょう。

毎日でなくてもOK!
時間がないときは、ローションをデリケートゾーン全体にざっと伸ばすだけでも構いません。ご自身の生活にあわせ、無理のないペースでつづけることが大事です。

Text:Yue Miura
Edit / Design:Makito Uechi
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