“タブー視”はもう時代遅れ!? 注目を集める「プレジャーアイテム」

“タブー視”はもう時代遅れ!? 注目を集める「プレジャーアイテム」

性の話題というと、なんとなく周りには話しづらいし、聞きづらいもの。しかし実はそのせいで、本当に気持ちのいいセックスができていなかったり、時には大切な身体にダメージを与えてしまっていることもあるんです。そこで、性の話題をタブー視せず、きちんとした知識を身につけようと「セクシュアルヘルス塾」がスタートしました。

今回は、女性の性に詳しいライターの三浦ゆえさんとラブライフアドバイザーのOliviAさんに、<プレジャーアイテム>について教えてもらいました。

海外では一般的な女性用プレジャーアイテム。そのバリエーションと進化がすごい!

みなさんは、”プレジャーアイテム”をお持ちでしょうか?
プレジャーアイテムとは、一般的には大人のオモチャ、アダルトグッズ、ラブグッズ、セックストイ…などと呼ばれるマスターベーション(セクシュアルヘルス塾ではセルフプレジャーと呼びます)を補助するアイテムのこと。こうしたアイテムはなんとなくアブノーマルなもので、アダルトショップなどでひっそりと売られているイメージがあると思います。

しかし欧米では、女性が<プレジャーアイテム>を使って楽しむことが一般的なため、日本よりももっと身近で、そのバリエーションも豊富なんです。そんな世界の<プレジャーアイテム>のトレンドから教えてもらいました。

女性の意見を取り入れた進化系アイテムが続々登場!

世界のプレジャーアイテムは、ここ数年で目覚ましい進化を遂げているとか。ライターの三浦ゆえさん&講師のOliviAさんによると「アイテムの作り方が変わってきた」とのこと。

「これまで<プレジャーアイテム>は、男性が買って女性に使うというイメージのもので、男性目線で作られていました。そのため、男性器をモチーフにしたグロテスクなデザインのものが多かったんです。しかし、そんな生々しいものは求めていないというのが多くの女性の本音。そこで、最近は女性目線で作られた<プレジャーアイテム>が数多く登場し注目を集めています」(三浦さん)。

ということで、まずは最新の<プレジャーアイテム>から、初心者向けのものからちょっと面白いものまで紹介していきましょう。

プレジャーアイテムの最新トレンド〜まずは初心者向けから試してみよう〜

まずは、初心者向けのベーシックなアイテムから。<プレジャーアイテム>のなかでも、一般的に知られているのは挿入して使うバイブレーター型でしょう。使用したことがある方ならわかると思いますが、高品質な医療用シリコン製のバイブでも、挿入したときに“冷たい”と感じてしまいがち。一度そう感じると、身体に馴染まないだけでなく、人によっては痛みを感じることもあるようです。

「そこで登場したのが、アメリカのブランドSVAKOM(スヴァコム)の『ANGEL(エンジェル)』というモデルです。SVAKOMは、最新技術とアイデアにより革新的なアイテムを生み出し、また安全な素材にこだわるプレジャーアイテムのハイエンドブランドです。この『ANGEL』は、人肌レベルに温かくなることで挿入時のひんやり感を抑え、オーガズムを高めてくれます」

SVAKOMは温感バイブを初めて出したブランド。スイッチのひとつに温度計みたいなマークがついていて、それを押して3分くらいすると38℃前後まで上がり、手で触ると人肌よりちょっと温かいと感じるくらいの温度になるんです。「温感機能によって内側をあたためることで、まるでマッサージしているように”癒やされつつ、同時に性感もある”という安らぎを感じることができるんです。バイブを使ったことがない方や、一度使ったことがあっても抵抗があったという方でも、温感バイブはあまり不快感がなく使えるのではないでしょうか」(三浦さん)。

違和感を持たせないためにローションの使用がオススメ

「<プレジャーアイテム>を使用するときには、ぜひローション(潤滑剤)も一緒に使用してほしい」という三浦さんとOliviAさん。よくできた<プレジャーアイテム>でもやはり異物には違いないので、体調によっては十分に濡れなくて痛みを感じるリスクも。異物感をできるだけ少なくして気持ちよさを感じるためにもローションは必須だと言います。
「特に温感バイブは、最初に少しでいいので先端にローションをつけてから挿入すると、それが呼び水になって自分もどんどん濡れてくる。“ローションは濡れない人が使うもの”とか、“年齢がいった人が使うもの”とかの思い込みで敬遠するのはもったいないです」(三浦さん)。

「特に温感バイブはローションと相性がいいんです。人肌の、あたたかくてぬるっとした感覚が得られて、さらには自分からたくさん愛液が出ているような感じがする、というか。自分も高まっているというのが感じられると思います」(OliviAさん)。

最新のテクノロジーを導入したものや、これまでの課題だった点をクリアした商品など、進化している<プレジャーアイテム>。一度使って苦手だと思った方や、使ったことがなくて抵抗がある、という方も、まずはお二人から紹介のあった温感バイブから試してみてはいかがでしょうか。

プレジャーアイテムの最新トレンド。売れ筋は、クリトリス吸引系!

最近では様々に進化したアイテムも登場しています。そんな中でも今いちばん注目されているのが、「クリトリス吸引系」とのこと。どんなアイテムでどんなところが注目されているのでしょうか?

「これまでプレジャーアイテムというと、挿入目的のバイブレーターや、ピンクローターなど振動によって快感を引き出すものがほとんどでした。ですが、2016年頃にクリトリスを吸引するタイプが登場したことによって、流れが一変しました」(三浦さん)。

たとえばドイツの「Womanizer(ウーマナイザー)」というブランドから出ている「Liberty(リバティ)」というモデルは、写真のとおりチューリップのつぼみのような形をしていて、パっと見た感じではなんのアイテムだか分かりません。

「開けると吸引口がついている本体が登場します。あとは、吸引口をクリトリスにかぶせてジーッと押し当てるだけ。そうすると振動と同時に吸引がはじまって、クリトリスを吸い上げるんです。吸引といっても本当に微細なものです」(三浦さん)。

吸引の強度は、試しに指の腹を吸わせてみると“これくらいでいいの?”と戸惑うくらい弱い。しかしその刺激を与え続けていると、いつしかすごい快感がもたらされるとか。「Womanizer」が吸引系のアイテムを売り出してから、他のブランドからも似たものが登場し、今<プレジャーアイテム>の中では、この吸引系が注目を集めているという状況とのことです。

何通りにも楽しめるマルチユースアイテム

イギリス発の「crescendo(クレッシェンド)」という商品は、“何通りも楽しめる”バイブレーターとして人気だとか。「好きな角度に曲げることができるので、挿入時に自分に合う角度をつけて楽しむことができ、敏感な場所にフィットしやすいと欧米で人気です。U字型バイブとしても使用できるのも高評価の理由です」

同様に「ZALO(ザロ)」というブランドの「QUEEN(クィーン)」というモデルも、マルチに使えるアイテム。本体だけ見ると一般的なバイブレーターですが、付属のアタッチメントをかぶせると、クリトリス吸引系のアイテムとして使えるのです。

ハンズフリーでも カップルでも楽しめるアイテムも

ひとりで使うだけでなく、カップルで使えるアイテムも登場しています。たとえばニューヨークでフェミニストの女性2人が立ち上げた「Dame(デイム)」というブランドの「Eva2(エバ ツー)」という商品は、写真のとおり一見プレジャーアイテムとはわからないデザインが特徴的です。

「Eva2はいわゆるローターで、腕のように伸びている部分を大陰唇の下にくぐらせて、女性器に固定して使います。こうすることでハンズフリーの状態で、ローター部分がクリトリスにフィットするというものです」(三浦さん)。ちなみにDameというブランドは“男性が思う女性の身体”ではなくて“女性の本音を参考に作ろう”という考えに基づいて商品開発をしているとのこと。そこからこうした機能が考案されているんですね。

こちらのEva2は女性一人でも使えますが、カップルでも使えるそうです。女性器に固定した状態で男性が入ってくると、クリトリスに男性の腰部がぎゅっと押し当てられ、挿入とクリトリスの刺激を同時に楽しめる上に男性にも振動が伝わって一緒に気持ちよくなれるとか。

挿入型で刺激が強めのピストン運動タイプ

挿入型のアイテムも進化を遂げています。ドイツの「FunFactory(ファンファクトリー)」というブランドから出ている「STRONIC G(ストロニック ジー)」という商品は、ピストン型のバイブだそう。

「挿入型のバイブレーターで、スイッチを入れるとズンズンと動きます。挿入型は欧米のものだと大きくて挿入しにくいものもありますが、アジア地域向けに一回り小さくなったモデルもあります。

初めてバイブを使う人にはちょっとハードルが高いサイズかもしれませんが、ピストン運動機能を試してみたい方にはおすすめです」(三浦さん)。

ほかにも、2019年秋には「SWAN(スワン)」というブランドからもピストンバイブが発売されたそうですが、こちらは女性に合わせた動きの工夫があるとか。「挿入した瞬間に軽くピストンしてくれるのが特徴です。ほとんどの女性は、いきなり奥を突かれて痛かった経験が少なからずあるんじゃないでしょうか。だから、このウオーミングアップは絶対必要。その後は、ピストンの速さが調整できるのでお好みのスピードで楽しんでください」(三浦さん)。

プレジャーアイテムの選び方。ブランドを支える企業のビジョン

さまざまな形で進化を遂げるプレジャーアイテム。その背景にはそれぞれのブランドの想いがあるといいます。それぞれのメーカーのビジョンとはどんなものなのでしょうか。。

「ドイツの「FunFactory(ファンファクトリー)」はセクシュアリティ、身体が不自由な方、経済的事情を問わず、“すべての人にプレジャーアイテムを使ってほしい”という理念で商品開発をしている会社です。前回に紹介した「Womanaizer(ウーマナイザー)」は、女性を応援するイベントに出資したり、協賛したりするなど、社会貢献にも積極的です。「Eva2」という個性的なローターを紹介した「Dame(デイム)」はアメリカ発のブランドで、アラバマ州で中絶禁止法が成立したことに対し、抗議の声明を出すなど、政治的な活動も行っています。他にも、ニューヨークの地下鉄にプレジャーアイテムの広告を出すなど、かなりチャレンジングなことをしています」(三浦さん)

この広告に対しては「卑猥なものを掲載するな」とバッシングもあったそうですが、「Dame」はそもそも「男性の性的興奮を刺激するようなグラビアなどは駅にも路上にもあふれているのに、女性の快感はないことにするのか」「女性の快感は卑猥でも猥褻でもない」と主張するためにあえて広告を出して反論をしたそうです。

アイテム選びの際には、好みで選ぶのはもちろん、活動の応援のために共感できる企業のものを購入するという選び方もありますね。

安全&安心に使いたい。プレジャーアイテムの洗浄方法

通常のプレジャーアイテムは、繰り返し使用することになりますが、気になるのは洗浄やメンテナンス。注意点はあるのでしょうか。

「プレジャーアイテムは、素材が医療用シリコンなどでできているものがおすすめです。ひと昔前までは塩化ビニール製のアイテムが主流でしたが、表面に汚れがつきやすかったり、人によってはかぶれたりすることもありました。シリコンは医療現場やキッチン用品にも使われるほど、衛生を保ちやすい素材です」

「また充電式アイテムの多くは防水なので、使用後はお湯やお水などで洗い流して、ハンドソープや中性洗剤で洗えばきれいになります。最近では“ホコリ”がつかないように、アンチダストコーティングされている優れもののアイテムもあり、ユーザー目線で作られているものが増えています。防水仕様になっているアイテムだと、機械部分に水が入ることを気にせずに、ジャバジャバ洗えていいですよね」(三浦さん)。

専用の洗浄アイテムもあるとか。たとえばドイツ発の「FunFactory(ファンファクトリー)」から出ているプレジャーアイテム専用の”トイクリーナー”。これはスプレータイプで、使用の前後にシュシュっと吹きかけて拭き取るだけでOKです。

デリケートな場所に触れるアイテムだから、衛生面のケアは最重要。プレジャーアイテムを使用する際には、メンテナンスについてもしっかりチェックしておきましょう。

ドイツ発のブランド、「Satisfyer(サティスファイヤー)」の「ONE NIGHT STAND(ワンナイトスタンド)」は、世界初の、電池で使い切りタイプのクリトリス吸引型アイテム。1回約35分駆動しますが、使えるのは一度切りとなっています。「同型で、価格帯の違う充電式のアイテムもありますが、使い切りだと多少割高にはなりますが、その分、安心して使えます。一度、試しに使ってみるのもオススメです」(OliviAさん)。

膣トレにも効果的なプレジャーアイテム

最近、よく耳にする「膣トレ」。セルフプレジャーとトレーニングの両方で使えるアイテムもあります。

「『Femimate Plus(フェミメイトプラス)』というモデルは、骨盤底筋を鍛えるいわゆる「膣トレ」をサポートしてくれるアイテムです。中にセンサーが入っていて、アプリと連動して自分の膣圧が測定できます。トレーニングモードでは、アプリが「締めて、緩めて」と、英語でナビゲートしてくれます。しかもトレーニングが終わった時に「よく頑張ったね」という感じでパチパチと拍手の効果音が入っているなど、工夫がなされています。スマホアプリとも連動しているのが特徴です」(三浦さん)。

「トレーニングモードに特化したアイテムもあります。「elvie(エルビー)」です。おしゃれなケースの側面を押すと中からセルフプレジャーアイテムがでてきて、これもアプリに連動できます。おたまじゃくしのような形ですが、頭の方を挿入してトレーニングし、その結果をアプリに記録することができます」(三浦さん)

<プレジャーアイテム>は手にするのはちょっと恥ずかしいと思っていた方も、むしろ「使っていないなんて損していた」と思うくらいに、進化し、バリエーションも豊富なのがおわかりいただけたでしょうか?

セルフプレジャーは、内緒でセクシャルな欲求を満たす行為から、だれもが当たり前に、より充実したセクシャルライフを実現するためのものとして認識が変化しはじめています。健康と美しさと、そして喜びをサポートしてくれるものなので、ぜひ自分に合ったアイテムを見つけてください。
 

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